多摩独酌会
report09.19.2004

「十二蔵盃一献」


いつもの会場、今回はブラインドではなかった。

参加蔵(順不同、敬称略)

鍋島蔵(佐賀) 福久千代酒造 飯盛 直喜 

志太泉蔵(静岡) 志太泉酒造 望月 雄二郎

雨後の月蔵(広島) 相原酒造 堀本 淳志

仁勇蔵(千葉) 鍋店梶@大塚 完 

大和川蔵(福島)  大和川酒造 白沢 芳秀
                    渡辺 慎 

村祐蔵(新潟) 村祐酒造 村山 健輔

屋守蔵(東京) 豊島屋酒造 田中孝治

来福蔵(茨城) 来福酒造 藤村俊文

結人蔵(群馬) 柳澤酒造 柳澤 清嗣
                 柳澤 圭治

舞姫蔵(長野) 舞姫酒造 土橋 潤二

さか松蔵(大阪) 浪花酒造 成子 壽一
                 新田 昌三

天青蔵(神奈川) 熊沢酒造 五十嵐哲朗

前回に引き続き、3連休の中日の開催。秋の行楽シーズン真っ只中の3連休に、「お酒の会に行くんだー、ふーん・・・、まっ、頑張ってね」という、妻と娘の声援(?)を背中に受けて家を出た。

これから仕込みに入るお蔵さん12蔵が参加された。馴染みのお蔵さんも居れば、未知のお蔵さんもいる。12蔵と多くのお蔵さんが参加されたので、各テーブルをお蔵さんが10分交代で回って行く。お酒と一緒に蔵元さんが回るため、ブラインドではない。蔵元さんが、造りの説明(酒米の種類とか、酵母とかお蔵の説明など)をしながら、酒を利くのだが、いかんせん10分と言うのは短くて、利く方に集中していて殆ど話せない。


「雨後の月」の小山限定品「九嶺」(くれ)、堀本杜氏

今回は、採点シートが渡された。各蔵の出品酒を「好感度」「値頃感」それぞれを、5点満点でマークした。僕は、点数方式は好きではないのだが、一人だけ勝手なことも出来ないので点数をつけた。それとは別に、いつもの○△×方式でもメモして、コメントを付けるので忙しい。

「好感度」は点数化するのは比較的楽で、好きを5点、飲めないを1点にすれば良いが、「値頃感」は難しい。「翠露 大吟中取」は美味しいと思ったが、価格は7,875円。値頃感は、何点にすれば良いのか迷う。味に見合った価格だと思ったとしても、値頃感は余り感じない。この味で、3,500円だったら「5」点だが、倍以上の価格だから「2」点かなー、という極めて曖昧な点数になった。


「翠露 大吟醸 中取」と土橋社長

各蔵お持ち下さったのは、純米吟醸クラスを中心にして2,500円〜3,000円の価格帯のお酒。だから、値頃感のある価格帯なのだが、好みのお酒でないと値頃感の点数も低くなってしまう。難しくて、なやんだ。ちなみに一番安かったのは、「大和川 純米 良志久(よろしく)」の1,890円(1,000円台は、このお酒だけ)、高かったのは「志太泉 千葉心一」(純米大吟中取生原酒)の8,155円だった。

 
「大和川 良志久」〈左〉と「志太泉 千葉心一」

「純粋熊本酵母」で仕込んだお酒が何種類かあった。「九嶺」の「純吟雄町」と「純吟山田」は「純粋熊本酵母」で醸され「雨後の月 純吟」は、「協会9号」で仕込まれていたが、元は同じ酵母(共に「香露」蔵の酵母)なのに、造られる酒は違う。これは、「佐久の花」でも感じたが、面白いものだと思う。

「天青」蔵さんも「純粋熊本酵母」を使っている(「佐久の花」の高橋専務と一緒に買いに行っているらしい)、こちらは「生酒」と「火入れ」の2種類を利いた。「生」は老ね味を感じたが、「火入れ」は酸も程よく好みの味だった。「火入れ」した酒の方が、秋口には良いようだ。いつもは「酸」がバンバンに出る「天青」さんだが、今回は落ち着いた「酸」で良い感じだった。

群馬県の「結人」蔵さんは、ご兄弟で蔵を支えている。「純吟 五百万石」と「純吟 若水」の2種類を利いたが、好みのお酒だった。立ち香は押さえて、すっきりとした飲み口の酒。後、切れ味があれば更に良かった。でも、このお蔵は伸びると思う。


副杜氏の弟さんと「結人 純吟 五百万石」

佐賀の「鍋島」蔵さんも、良かった。若手の酒販店さんが中心となって、新しい酒を造ろうとして生まれたお酒とのこと。きれいな吟醸香がほのかに立ち、飲み口は柔かく米がふくらむ感じ。面白かったのが、瓶で3〜4年寝かした後に甕で1年寝かした古酒「微古 甕貯蔵 純米」。枯れた香りがあり、きれいに老ねていて、燗にしてみたい酒。このお蔵も要チェックである。


佐賀から一睡もせず来られた「鍋島」蔵、飯盛氏

新潟のお蔵では、異色の「村祐」蔵。250石の小蔵だが、村山専務とパートのオバちゃんの2人で仕込んでいると聞き、驚いた。村山専務が造りに入って13年だから、造りに慣れているとはいえ2人だけとは、他のお蔵さんも驚いていた。「村祐」は造り始めて3年目になる。蔵に入り酒を仕込み始めて10年経って、自分の考える方向性の酒が仕込めるようになり、「村祐」を仕込んだ。


「村祐」蔵、村山専務

このお酒は、スペックを公開していない。酒米も酵母も一切非公開。「飲む前に先入観を持たれてしまうのを避けるため」に、非公開にしているとのこと。白紙の状態で、あるがままのこの酒を飲んで欲しい、と熱く話す。自分の醸す酒に対する拘りというか、造り手の矜持のようなものを感じた。


「来福」藤村専務、「さか松」成子氏

今回、好感度で1位だったのが「翠露 大吟中取」、2位「大和川 すえながく 山田錦雄町純米大吟醸」、3位「来福 純米吟醸 雄町 生」。値頃感が、1位「鍋島 本醸造」(2,205円)、2位「屋守 純米吟醸」(2,940円)、3位「来福 純米吟醸 八反錦 生」(2,730円)。

僕のお気に入りは、「九嶺 純米吟醸雄町」「九嶺 純米吟醸山田錦」、「結人 純吟 若水」、「鍋島 純米吟醸」。


小山商店の3階で行われた2次会風景

「志太泉」の望月専務(彼とは出身高校が同じ)も参加されていたので、2次会にもお邪魔した。いつもの焼鳥屋ではなく、小山商店の3階で行われた。かつての「独酌会」は、ここで行われていたので、懐かしい。この狭いスペースで50人くらいで、開催されたこともある。

小山ファミリー手作りのコロッケや豚バラ肉おろしポン酢、おでん等々を頂きながら、蔵元さん達と話しこむ。有意義な一時を過ごした。

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